〜双子の憂鬱〜
ボスン‼︎
と音がして目線を上げると、力なくソファに座り込み頭を抱える彼の姿が目に入る。
「勘弁しろよってんだ。
好きで独り身なんだ。化粧とったら誰だか分からんような女なんかごめんだ。」
・・・うふふ。
これは相当困ってたんだなぁ。
こんな彼の姿、初めて見るかもしれない。
「いいですよ。」
「え?」
「やります。婚約者。・・・あ、違う!
婚約者役‼︎」
危ない危ない。婚約者、じゃなくて婚約者役、よ。
「すまん・・・俺は助かるんだが、由有は大丈夫か?
その、、、陸に迷惑かけることは」
「陸は友達です。あたしも好きで独り身してるんですから、迷惑もなにもありませんよ。」
普段通りに。いつものように。
答えられたよね?
「陸って・・・名前で・・・」
ポカンとした表情の大河内が居て。
ソファに力なく座ったまま唖然と由有を見ていた。