〜双子の憂鬱〜
陸、と二宮を名前で呼んだ。
ただ、それだけ。
それだけなのに、なんでそんなに悲しそうな顔をするんだろう。
「陸と・・・付き合ってるのか?」
そう自分に問いかける歪んだ表情が苦しそうで、背中を向ける。
「陸は友達。似た者同士だからすぐ仲良くなっただけよ。」
・・・貴方を好きな者同士、なんて言わない、言えない。
「すぐに食事にするね。」
大河内の前を通り過ぎ、キッチンに入ると朝から煮込んであったビーフシチューを温め直す。
しばらくすると、大河内は立ち上がり寝室へと入って行った。
その広い背中が、寂しそうだった。
抱きしめて、温めてあげたかった・・・。