〜双子の憂鬱〜
「おっ、大河内さんっ⁉︎」
「大吾、だ。由有。」
頭のてっぺんから声が降ってくる。
温もりが、香りが、鼓動を嫌でも忙しなくさせる。
「呼んでみろ、由有。」
・・・強制ですかっ‼︎
言いたくても言えなかった。
睨むような眼差し。
強い眼力に押され、茶化せない。
少しだけ身体が離されてホッとした。
・・・すぐに淋しくなった。
顎に優しく触れた、彼の大きな手。
無骨な指。
温もり。
胸の奥が騒がしい。