〜双子の憂鬱〜
小一時間で出来上がったのは、まるで昔の自分の様だった。
ドレスと言う鎧を身につけて、気持ちをひた隠しにして。
真実の自分なんてどこにもいない。
でも。
「お綺麗ですね。」
店員がそう言って由有の首元にネックレスをかけた。
緩くまとめられた髪はふわふわとしていて。
背中が大きく開いたドレスは色白の由有によく似合うボルドーカラーで。
体のラインがクッキリと分かるタイトなシルエットのドレスは良く似合っていた。
「社長がお待ちです、行きましょう。」
田辺に促され仕方なく歩き出す。
こんな格好、恥ずかしくて嫌だ。
似合わない。
消えてなくなりたい。