〜双子の憂鬱〜
「何で・・・なんでそんなに大胆なドレスを選んだんだ。」
隣で彼がそう呟いた。
怒っているような、拗ねたような、そんな表情だ。
「なんでって・・・お店の人に任せたらこれになったんですもの。
あたしが選んだわけじゃないから・・・」
言い訳のようにそう言うと。
そっと温かい手のひらが背中に回された。
「由有。今日は頼む。」
約束の仕事だもの。これでもかってくらい、完璧な婚約者を演じてみせる。
・・・少し胸が痛むけど。
「大河内さん。」
いきなり背後から声がしてびっくりすると。
「やぁ、楢橋のお嬢さん。」
振り向くとそこには。
今時のメイクをした女の子が立っていた。