〜双子の憂鬱〜

「今日はパパにお願いして来たの。
・・・その人は?」


こちらを睨みつけると、大河内に甘えるような声で尋ねた。


「彼女は私の婚約者です。」


ワザと周りにも聞こえるような大きな声で、彼はそう言って由有の背中を少しだけ押した。


「初めまして、若槻 由有です。」

会社でOLをしていたときに習った綺麗なお辞儀をする。

・・・と。

「婚約者・・・?」


目の前の女の子の目から大粒の涙が零れ始めた。

「ひどい・・・亜子をお嫁さんにしてくれるってパパと約束したじゃない!!」

・・・はい???


ちょっと待って。


いくらなんでも目の前にいるお嬢さんはまだ十代にしか見えない。
そんなギャルと彼が一緒にいるところなんて想像出来ない。



< 122 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop