〜双子の憂鬱〜
「今日はパパにお願いして来たの。
・・・その人は?」
こちらを睨みつけると、大河内に甘えるような声で尋ねた。
「彼女は私の婚約者です。」
ワザと周りにも聞こえるような大きな声で、彼はそう言って由有の背中を少しだけ押した。
「初めまして、若槻 由有です。」
会社でOLをしていたときに習った綺麗なお辞儀をする。
・・・と。
「婚約者・・・?」
目の前の女の子の目から大粒の涙が零れ始めた。
「ひどい・・・亜子をお嫁さんにしてくれるってパパと約束したじゃない!!」
・・・はい???
ちょっと待って。
いくらなんでも目の前にいるお嬢さんはまだ十代にしか見えない。
そんなギャルと彼が一緒にいるところなんて想像出来ない。