〜双子の憂鬱〜
「あー、えーっと、」
何て声をかければいいのだろうか。
あたしひとり、何も知らない。
そんな約束があったことも、彼女の存在も。
言い淀む由有の横で、大河内はクスッと笑った。
「亜子ちゃん、それは君が3歳の時に言った話だろう?
君のお父さんも私も、それを本気になんかしていないよ。」
諭すような彼の声が聞こえる。
目の前の女の子がグッと詰まったような表情をして、はぁっと息を吐いた。
「嘘泣きもダメかぁ!
なんだぁ、大河内さんって結構マジメなんだね〜、つまんない。
で?婚約者?降って湧いたね、いきなり。」
・・・え、、、ええっ⁉︎
何なの、何があったの⁉︎
さっきまで泣いてた子が、けろっとしてる‼︎