〜双子の憂鬱〜
その2
唖然とする由有を蚊帳の外に置き、”亜子”と呼ばれた女の子は更に続ける。
「あからさまな厄介払いの為の代役よね。今の今まで大河内さんに浮いた話なんかなかったんだから。
そうなんでしょ、そこのおばさん。」
目線が自分に向いた。
おばさんって・・・あたしよね。
「あら、にわか役者みたいに言わないでくださる?
確かに貴女から見れば私はおばさんかもしれないけれど、大吾の婚約者であることに変わりはないわよ?」
ことさら嫌味を沢山含めて言ってみる。
・・・が、心臓はバクバクだ。
「由有、すまない。俺が不甲斐ないからこんな風に言われてしまうんだ。」
引き寄せられ腰に手が回される。
強くホールドされ、更にドキドキが増してゆく。
「ふぅん・・・にわかじゃないのかしら。まぁいいや、別の人見つけよ。
じゃあね、大河内さん。」
アッサリと亜子は立ち去った。