〜双子の憂鬱〜

・・・そんなこと、言える訳ない。


この関係を壊すのが怖い。
良い方向に進むならいくらでも気持ちを曝け出すだろう。


けど。


過去に怯えていた由有には出来なかった。



ただ、黙って側に居ることを選んだ。




「由有」


挨拶があらかた済み、少しだけ席を外すと言って側を離れていた大河内が戻ってきた。


手にはグラスがふたつ。


「カクテル、飲めるか?」

「はい、いただきます。」


受け取るその手が微かに触れる。
動揺しちゃいけない。
普通にしてなきゃ、普通に。


「疲れただろう?」

「いいえ。仮面被ってOLやってた方が数倍疲れます。
これくらい、どうってことないですよ。」

ニコリと笑って応えると、嬉しそうに大河内が笑った。


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