〜双子の憂鬱〜

「しかし、助かった。今日のお礼はまた日を改めてさせてもらう。」

話を変えたのは、大河内の方だった。


「いえ。お世話になりっぱなしなのはあたしの方なんですから、必要ないです。
気持ちだけ、頂きます。」


そう。
いつだって居心地の良い場所を作ってくれるのは、彼の方。


「だが」

「大吾さん。」


真っ直ぐに彼を見上げて、由有は微笑む。


「迷子のあたしに居場所を与えてくれたのは、貴方です。
それだけでいいの。
これからもずっとそこに居させてくださいね。」


つい、本音が溢れた。


側にいたい。
誰よりも、何よりも、貴方の。

大吾の側に。


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