〜双子の憂鬱〜


もしかして。


この人が、彼が以前結婚まで考えたことがあるっていう元カノじゃ・・・?



次の瞬間、自分でも分からないまま言葉を発していた。


「それはダミーです。大河内さんは婚約なんかしてません。
あたしは大河内さんのマンションの管理をさせてもらっている若槻です。」


周りに聞こえないように、けれどハッキリとそう口にした。


大河内は唖然としている。


「雇い主と家政婦なんです。心配なさらないでください。」


にっこりと笑うと大河内に一礼する。


「もう約束は果たしました、これで帰ります。
どうぞ、ゆっくりなさってください。」


クルリと向きを変え、会場の出口へ向かう。


泣くもんか。


我慢、我慢!我慢‼︎


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