〜双子の憂鬱〜
「由有‼︎」
出口で彼の手に捕まる。
離したくない、離さなくちゃならない、その手に。
「あれは、嘘だったのか⁉︎
お前も同じ気持ちじゃなかったのか⁈」
「離して・・・誤解されてしまいます。
彼女の所に戻ってください。」
必死だった。
ついた嘘を重ね、本心を隠した。
お願い、と願った。
もう、大丈夫。
あのキスだけであたしは幸せだったから。
所詮、ニセモノなのだから。
「由有、俺はお前が」
「大吾さん。彼女待ってます、離してください。」
瞬間、堪えていた涙が頬を伝って落ちた。
繋いだ手の上に、溢れた。