〜双子の憂鬱〜

自分がどこにいるのかすら、わからない。


トボトボと肩を落として歩く。
踵やつま先が痛むけれど、胸の方がもっと痛かった。


可愛い人に敵わないってわかっているから。

自分が可愛げない女だと自覚しているから。


あんな風にいつもと違う大河内を見るのが辛かった。


彼が何か言いかけていたようなきもするけど、もう考えたくなかった。


ふと、寒さで足が止まる。


こんな恰好のまま出てきちゃった。
雨が降り始めて初めて焦り始める。
このままじゃ風邪ひいちゃう。
・・・じゃなくって、早く帰らなきゃ。


ここはどこだろう?


闇雲に走るんじゃなかった。


< 134 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop