〜双子の憂鬱〜
自分がどこにいるのかすら、わからない。
トボトボと肩を落として歩く。
踵やつま先が痛むけれど、胸の方がもっと痛かった。
可愛い人に敵わないってわかっているから。
自分が可愛げない女だと自覚しているから。
あんな風にいつもと違う大河内を見るのが辛かった。
彼が何か言いかけていたようなきもするけど、もう考えたくなかった。
ふと、寒さで足が止まる。
こんな恰好のまま出てきちゃった。
雨が降り始めて初めて焦り始める。
このままじゃ風邪ひいちゃう。
・・・じゃなくって、早く帰らなきゃ。
ここはどこだろう?
闇雲に走るんじゃなかった。