〜双子の憂鬱〜
その4
「・・・可愛い女の子になりたかった。」
陸のうちで濡れた体を温めるためにお風呂を借り、着替えまで借りて今に至る。
ソファで膝を抱え、呟くように由有は気持ちを吐き出した。
「可愛い女の子?由有は充分可愛いと思うけど。」
キッチンでコーヒーを入れながら陸が答えた。
違うのだ。
男の彼が言う”可愛い”と自分がいう”可愛い”は。
「実有になりたかった。
素直で可愛くて。いつも笑顔で。
・・・双子なのになんでこんなに違うのかっていつも思ってた。」
好きだった翔太も、実有を選んだ。
お前じゃない。
お前をそういう風に見れない。
・・・そう、言われた気がした。