〜双子の憂鬱〜
「何をやってもいつもあたしの方が出来る子だった。
だけど・・・みんな何にもできない実有を可愛がるの。
由有はお姉ちゃんでしょ?とか由有には必要ないよね?とか。」
本当の自分は弱虫で全然強くなんかない。
「ずっと好きだった翔太も実有を選んだ。こんな可愛げのないあたしなんかより、ほっとけなくて可愛らしい女の子の方がみんないいに決まってる。」
陸には素直に話せた。
理由なんか分からない。
ただ黙って聞いていて、湯気の上がる温かなコーヒーカップを由有に差し出してくれる。
「大河内さんも、きっとそう。」
柔らかな印象で可愛い人だった。
大河内を見つめる目が愛を語っていた。
「・・・で?由有はどうしたいの?
さっきから誰それがどうこう。
由有自身はどうしたい?それを聞きたいな。」
隣に座りコーヒーを一口飲むと、陸は少し強めの言葉を投げかけた。