〜双子の憂鬱〜

「え?」

「みんなさ、傷付くのは怖いんだよ。
俺だってそう。普通じゃないからさ、男が男を好きだなんて。
俺は大吾の側にいる事を選んで気持ちを隠した。
だからさ、正直由有が憎たらしかったよ。」


こちらを見る陸は柔らかな笑顔だった。

ソファの上、2人向き合うような形で見つめ合った。


「大吾の隣に居れるだけじゃなく、気持ちも隠さなくていい君が憎かった。
・・・嘘をついて側に居る自分が惨めだった。」


コトリ、と音をたててサイドテーブルに置かれた陸のマグカップ。





・・・気付いたら、陸に抱きしめられていた。


「大吾ってさ、分かりにくい奴だろ?
気持ちも表情も読めない。
でも君の側に居る時の大吾、笑ってたよ。楽しそうに・・・愛おしそうに君を見てた。」

サラサラと由有の髪を撫で持ち上げ、弄ぶその手が、由有の背中を撫でた。


「り、く?」

「初めてなんだよね、女の子相手にこういう気持ちになるの。
・・・由有を守りたい。大切にして笑顔で居させたい。

俺じゃダメかな?大吾なんかじゃなくて、俺。」


少しだけ低い、優しい声が響いた。


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