〜双子の憂鬱〜
「陸・・・?」
どこか甘い香りのする彼の少し華奢な腕の中、言われた言葉に頭がパニックになる。
「返事は今すぐじゃなくていいよ。
由有の気持ちが決まったら、で。」
ゆっくりと身体を離し顔を覗き込む陸に戸惑う。
だって。
陸は大吾を好きだったんじゃないの?
「凄い顔だよ?どうしたの?」
戸惑いと驚きと、なんとも言えない感情が渦巻いていて。
どうしたらいいのかわからなくて由有はただ黙って陸を見つめていた。
「大吾もさ、ハッキリしない性格してるからね、ああ見えて。
由有もそうなんじゃない?明言を避けて傷付くのを恐れて。
気付いたら失ってるってパターン。
・・・もう、止めにしなよ。優等生ぶってたら、本当に欲しい物、手に入らないんだよ。」
バッサリと陸に言われ、何だか可笑しくなってしまった。
「ふ・・・ふふふふ、あははは!なんなの、もう!!」
それは陸にとっても同じことなのに。
「励ましてるのかバカにしてるのかわかんない。
・・・でも・・・ありがとう。」
そう言ってようやく笑顔を作ることができた。