〜双子の憂鬱〜
ゾクリとする、不思議な声に引き寄せられる様にして振り向くと。
漆黒の髪。
漆黒の瞳。
大きな身体の男が立っていた。
「い・・・家出なんかじゃないです。」
「じゃなきゃ、男に捨てられたか。人生やり直しの旅かよ。」
そう言って男は奥のデスクに座った。
「な・・・なんなんですか、さっきから失礼な!」
「社長、お客様なんですよ!」
由有の声と不動産屋の声が重なった。
・・・社長???
この、超失礼な大男が社長!?