〜双子の憂鬱〜
陸の言葉は難しい。
けど。
「言わんとする事、分かる?」
「うん。分かる。あたしが1番、実有と自分を比べてたんだね・・・」
同じ器を持った双子。
中身は別。
なのに、全く同じものだと思っていたあたしは自分を選んで貰えなかった事を”可愛げない”からと、
さも当たり前の様な理由を付けて現実から逃げ出したんだ。
「由有は由有だよ。とっても魅力的な女性だ。
自信を持っていいよ。」
「ありがとう、陸。」
そう言った直後だった。
ピンポンピンポン、ピンポンピンポン、とけたたましくインターホンが鳴った。
「ホラ、王子様の到着だ。・・・ってもかなりお年を召しちゃった感あるけど。」
そう言いながらインターホンに出てなにやら話す陸。
「大吾に連絡して少しだけ話す時間を貰ってたんだ。
痺れを切らしたんだね、返せって言われちゃったよ。」
ははは、と軽く笑ってそういう陸は穏やかな表情を見せていた。