〜双子の憂鬱〜

「由有!!!」


玄関が開く音がしたと同時に声がした。
焦った様な彼の声。


「素直になってね、由有。大吾をあげるよ。」


リビングの扉が開いた瞬間、確かに陸はそう言った。
耳元で、囁くように。
悲しそうに、淋しそうに・・・。


「帰るぞ・・・」


ギュッと手首を掴まれ、痛いほどに感じる彼の焦り。


・・・何に???

あなたは何にそんなに焦っているの???



強引に引き摺られ、車に乗せられた。


何時もの落ち着いた大河内からは想像も出来ないくらいに余裕が無い。


無言の車内。


エンジン音だけが響く、空間。

ドキドキが止まらなかった。


陸。
あたし、頑張ってもいいんだよね???


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