〜双子の憂鬱〜
「だ・・・」
「由有」
言葉って何でこんなにタイミングが必要なんだろう。
意を決して発した自分の声を塞ぐように、大吾が沈黙を破った。
「何で陸のとこに行った。」
「え?」
「陸に何された。あいつ、お前に何言ったんだ。
好きって言われたのか!?どうして俺から逃げたんだ!!!」
言葉を追うごとに強くなる彼の声。
あぁ、こんなにも思ってくれてた。
気付こうとしなかったのは、卑屈な自分。
「大吾さんが好き。」
ハッキリと。
口から溢れた声は彼に届いただろうか。
「好きで好きでどうしたらいいのかわからなかったの。
あなたの周りには素敵な女性が沢山いて・・・あたしなんかじゃダメだって思ってた。
・・・お願い、何か言って・・・」
俯くしかできないけど。
それでも気持ちをハッキリと言葉にして届けた。
・・・はず。