〜双子の憂鬱〜

何も言わない彼に焦って顔を上げると。



ふわりと抱き寄せられた。

引き寄せるようにして由有を抱きしめたのだ。



「馬鹿やろう・・・そんな大事なこと、今言うなよ。
聞き逃すとこだったじゃないか。」


声が震えていた。


抱きしめる腕が震えていた。


体が離れて、そっと覗き込む彼の真っ黒な瞳が揺れていた。



「愛してる、由有。」



そっと唇が触れた。



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