〜双子の憂鬱〜

「由有」


名前を呼ばれて振り向く。


目の前に居る大吾が由有の腕を掴み身体を引き寄せた。


ぎゅうっと抱きしめられホッとする。


あれからふたり、マンションに帰り。

どうしたらいいかわからない由有は所在無さげにウロウロしていた。



そこで、大吾に引き寄せられたのだ。



「お前、テンパり過ぎ。」

「そ、そんなこと」


訂正しようにもその通りだった。


なにしろ”28まで処女でいた女”なわけで。



重たいと思われたかもしれない。
本当はそんなの、嫌なのかもしれない。


「めんどくさいって、思わない?」


不安だから本当は聞きたくない。
だけど、不安だから聞きたい。


「思わん。誰にだって”初めて”はあるんだ。俺にだって、お前にだって。

誰のものにもならずにいてくれて、俺は嬉しいけどな。」


低いその声は由有の心を落ち着かせる魔法の様だ。

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