〜双子の憂鬱〜

「それと、出来れば妹に会ってこい。
ちゃんと終わらせてこいよ。それから、俺のところに来るといい。」

緩んだ腕の中、見上げると由有を見つめる瞳とぶつかる。


「実有と・・・?」


今更会って何になるというのだろう?
既に終わった恋。
実有と翔太は結婚するのだから、今更かき回したりしたら・・・。


「ちゃんと終わらせないと引きずる。
お前が抱えてるのは劣等感だ。
妹に対する嫉妬。
それを綺麗さっぱり捨ててこい。
俺がお前の全部、受け止めてやるから。」


思わぬ言葉に声を失う。


劣等感・・・嫉妬。

そうなのかもしれない。だから、許せなかった。嘘をついた事が苦しくて息が出来なくなった。

逃げ出したのは己の弱さ。


それを全て受け止めるから、想いを伝えてこい。


そう、彼は言ってくれたのだ。

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