〜双子の憂鬱〜

「好きだった男にどうこうしてこいとは言わん。
だが、妹はお前にとってずっと変わらず妹だ。
そしてお前は一生姉のままだ。だから、ちゃんと気持ちをぶつけて分かり合える仲になった方がいい。」


サラリと髪を撫でられて、近付く目線。


大吾が顔を傾けたのを見て、そっと目を閉じる。


ゆっくりと触れた唇は、思っていたより冷たくて。
だけど優しかった。



「由有、そんな泣きそうな顔するな。
幸せだと思うなら、笑え。俺はお前の笑顔が好きなんだ。」


照れ臭そうにそう言って再び重なる唇。


幸せなら笑え。

胸にジワリと広がる暖かな感情。
初めて味わう、幸せな気持ち。満たされた心。



「急かしたりはしないつもりだが・・・出来れば早めにその気になってくれたらいい。」

ゆるゆると由有の背中を撫でる大きな手のひらが言葉の深い意味を教えてくれた。



誘われた、と気付いたのは数秒後。


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