〜双子の憂鬱〜
「め、、、んどうじゃ、ない?」
一から進まなければならない自分では、大吾が辛いのではないか。
手間ばかりでつまらないと思われたらどうしよう。
そんな気持ちが”面倒”という言葉になる。
「さっきも話したはずだが。」
クイっと顎を持ち上げられ、高い位置で目線がぶつかる。
真っ黒な、漆黒の瞳。
「面倒とは思わん。そうやって逃げてるのか?」
下唇をやんわり親指で撫でられる。
ぞくりと背中を這う感情。
彼を『欲しい』と、思う瞬間だった。