〜双子の憂鬱〜
もう嘘はつかない
その1
「そう言えばお前、なんであの時逃げ出したんだ??」
あのパーティーから1週間。
思い出したように大吾が問いかけた。
洗濯物を干しながら、由有は正直に話し出す。
「彼女でしょ?前に結婚まで考えてた人って。
すぐに分かったから、邪魔しちゃいけないって思ったのよ。」
「馬鹿。邪魔ってなんだよ、邪魔って。」
そばに来てそう言いながら、大きな手で洗濯物をひとつ、持ち上げ由有に手渡す。
「だって・・・大吾の気持ちがわかんなかったんだもの。」
受け取ったシャツをハンガーにかける。
そうして気付く。
彼がこうやってさりげなく手伝ってくれていたことに。
ずっと、ずっと。
「キスまでしといて嫌いなわけないだろ、察しろよ。」
ぶっきらぼうなのは相変わらずだ。