〜双子の憂鬱〜
もう嘘はつかない

その1


「そう言えばお前、なんであの時逃げ出したんだ??」



あのパーティーから1週間。


思い出したように大吾が問いかけた。



洗濯物を干しながら、由有は正直に話し出す。



「彼女でしょ?前に結婚まで考えてた人って。
すぐに分かったから、邪魔しちゃいけないって思ったのよ。」



「馬鹿。邪魔ってなんだよ、邪魔って。」


そばに来てそう言いながら、大きな手で洗濯物をひとつ、持ち上げ由有に手渡す。


「だって・・・大吾の気持ちがわかんなかったんだもの。」


受け取ったシャツをハンガーにかける。


そうして気付く。
彼がこうやってさりげなく手伝ってくれていたことに。


ずっと、ずっと。



「キスまでしといて嫌いなわけないだろ、察しろよ。」


ぶっきらぼうなのは相変わらずだ。


< 151 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop