〜双子の憂鬱〜
「じゃあ、行ってくる。」
何時ものようにスーツをキッチリと着こなし、玄関先で振り返る大吾を見送る。
「気を付けてくださいね。」
ネクタイの歪みを直しニコリと笑うと、大吾のキスが降ってきた。
「いいな、こういうの。長らく一人だったから不思議な感覚だ。」
照れ臭そうに笑う彼の言葉が胸にジワリと染み込む。
「いってらっしゃい。」
きっと耳まで赤い。
恥ずかしいけれど、幸せ。
その想いを込めて、もう一度、自分から彼にキスをした。