〜双子の憂鬱〜
「まだね、置いてきた気持ちにケリ付けてないから。」


この街に来た理由を知っている多恵には、この言葉だけで充分だった。
小さくそう?と言葉を発した多恵はそれでも優しく笑っていた。


「由有ちゃんがケジメを付けてから、って言うなら大河内さんもきっと分かっとるんやろね。
なんかもう、悔しいくらいお似合いなんやもん、2人。」

そう言って貰えると嬉しいけれど。
ケジメをつける、これが思っていたより難しかったのだ。

性格が邪魔をする。


「妹がね、彼氏とこっちに遊びに来るっていうの。あ、多恵さん所に宿泊させたいんだけど・・・。
彼氏と一緒に来るみたいだから、2人、3泊でお願いできるかな?」

「了解。見分けられるかなぁ、一卵性なんでしょ??」

そう言う多恵は由有の言いたいことがわかるのか、苦笑いをしていた。

「ま、今は大河内さんが居るから大丈夫よね〜!」


そう思いたい。
大吾がそばに居てくれるから、自分は大丈夫なんだと、変われたのだと思いたい。

翔太を見ても動揺せずにおめでとうと言える自分でありたい。


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