〜双子の憂鬱〜

その3

朝から落ち着かない理由は解っている。


・・・約1年振りに会う妹・実有とその彼氏・翔太の所為だ。

突然姿を消した由有からの連絡に、実有は泣きじゃくりながら怒っていた。

どれだけ心配したか分かってるの!?
何で急に居なくなったりしたの!?
あたしたち姉妹でしょ!?どうして相談してくれなかったの!?

そう言って泣く実有の声を電話越しに聞いた。


途中、翔太に代わったけれど何も言えずにいる由有。
そんな由有を見て大吾が代わりに何かを話していた。

恐らく、由有がひた隠しに隠してきたその心。
大吾がその気持ちをさり気なく伝えたのではないか、と思う。

「由有、そろそろ駅まで迎えに行くか?」

ソワソワしていたところ、そう言って大吾が由有の側にやってきた。

リビングで何をするでもなく落ち着かずに居た由有を見て、大吾が噴き出した。

「お前、どんだけ緊張してるんだ?」
「だ、だって、久しぶりなんだもの!」

何が緊張するかって・・・。

翔太に会うことよりも。

実有に会うことよりも。

大吾を紹介する事よりも。


・・・何よりも、実有を見て大吾が心変わりしないかが心配だった。



「大丈夫だ。俺はお前がいいんだから。
・・・どうせそんな事考えて怖くなってたんだろ?」

優しく抱き寄せて、そう耳元で囁く大吾に、またしても泣かされそうだ。

なんなのよもう・・・なんでいつも欲しい言葉を欲しいタイミングで言ってくれるの???


見上げたその真っ黒な瞳には、自分の泣きそうな表情が映っていた。


「お前の考える事は何でも分かるんだ。」

そういって、そっとキスをした。






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