〜双子の憂鬱〜
「自殺なんてしません。やり直したいだけです。
幸せにならずに死ねるかって話。だから住むとこ紹介してください。
・・・自分で自分の幸せ掴みたいんです。
このままで終われない。」
そう、ハッキリと言ってから大河内の前に立ち、頭を下げた。
そんな由有を大河内はじっと眺めた。
目が合う。
漆黒の瞳。揺るがない、意志の強そうなそんな瞳。
「・・・いいだろう。
おい、田辺。俺のとこのマンションの鍵、預けてただろ。
あれ出せ。」
田辺、と呼ばれた多恵の同級生だという不動産屋の男はキョトンとしたまま、しばらく固まっていた。