〜双子の憂鬱〜
「悪いけど、貴方には聞いてない。
由有、ちゃんと答えろよ。」


大吾の言葉は信じないとでも言うのか、翔太はそう言って由有に一歩近付く。


「ほ、本当だよ。初めて会った時から、ずっと好きだった。
でも、翔太はあたしのことそんな風に見てくれなかったし・・・実有と・・・」


言葉に詰まり、何も言えなくなる由有を見て、実有は大きく溜息をついた。


「いつ本音を言うのかなってずっと思ってた。
由有ちゃんって自分の気持ち、絶対に言わないよね。
何時だって周りが優先。だから優等生だって言われるんじゃない。」



先程まで見せていた気弱な感じの雰囲気はナリを潜め、少しだけ強気な発言だった。


「実有・・・」

「知ってたよ、あたし。それでも翔太を好きな気持ち、負けたくなかったから。
由有ちゃんが傷付くって分かってたけど、譲れなかったんだもん。
それに、そうやって逃げてあたしに譲ってくれるくらいにしか思ってなかったってことでしょ？」

見つめ合う双子のやり取りに、翔太が割り込んだ。

「俺抜きで話進めるなよ。
由有、悪かった。気付かなくて・・・お前の事傷付けてごめん。」


「え？」


不意打ちの謝罪に戸惑う。


「でも良かったな。こうしてお前を大事にしてくれる人と出会えたんだから、無駄じゃなかったよな。」


その言葉にうっかり涙ぐみそうになる。
グッとこらえて顔を上げた。

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