〜双子の憂鬱〜

その2

あっという間に時間は経ち、実有と翔太が戻る日が来た。

駅前で見送るのは由有一人だ。
大吾は外せない仕事の為、来ることが叶わなかった。


「じゃあ、お義兄さんによろしくね。」


しらっとそう言う実有を睨む。

「止めてって。まだ結婚とか考えてる訳じゃないんだし。
それより翔太。実有の事、よろしくね。
ワガママだし家事何にも出来ない子だけど・・・」


そう言ってチラッと実有を見ると、痛い所を突かれたのかムスッとして口を尖らせていた。


「分かってるよ。お前も・・・幸せになれよ。
式には2人呼ぶからな。」


差し出された手は、ずっとずっと好きだった、ごっつい手。

ギュッと握って離す。

この手じゃない。
あたしの好きな手は、この手じゃ・・・。


「ありがと。その時まで別れてなきゃいいけど。ふふふ。」


笑って見送ることが出来るのは、きっとこの街と、大吾のおかげ。



「またね!!」


手を大きく振って去り行く電車に別れを告げた。



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