〜双子の憂鬱〜
「どう、って勿論、結婚したいに決まってるだろ。」
目の前に溢れる真っ赤な薔薇の花束。
それを胸に得意げに話す彼。
「由有がどう思おうと、俺はお前と結婚するぞ。選択権はないからな。」
差し出された花束に、小さなメッセージカード。
『結婚してください』
の文字。
途端に涙で見えなくなる、その言葉。
「これからは、家政婦なんかじゃないからな。
堂々と嫁として、一緒に暮らしてくれ。
・・・幸せにする。」
受け取った花から、言葉から、愛情が溢れ出す。
「だ・・・大吾〜!!」
堪えきれずに泣き出した由有を花束ごと抱きしめるように包み込むと、周りからワッと歓声が上がった。
「おめでとう!」
商店街の人達、たまたま通りかかった人達、顔見知りの人達。
皆口々におめでとう、を言ってくれる。
恥ずかしくもあり、嬉しい瞬間だった。