〜双子の憂鬱〜
「契約成立だな、宜しく。」
「あ、ハイ。あの。」
手を離しキチンと向き合ってから再び由有は頭を下げた。
「若槻 由有です、宜しくお願いします。」
「・・・大河内 大吾だ。」
・・・大きな男なだけに?
名前も『大』の字満載だ。
「由有さん、いいの?」
後ろで話を黙って聞いていた多恵がそう訪ねてきた。
・・・いいかどうかなんて分かんない。
ただ、この町の人の優しさに少し。
・・・本当に少しだけ甘えてみたくなったのだ。