〜双子の憂鬱〜

「車の運転はできるか?」


急に大河内に話しかけられ、ハッとする。

「いえ・・・免許ないです。」

「だろうな。都会のやつはそれで成り立つが、田舎はそうはいかねぇぞ。どこに行くのも車がないとな。
ま、今更免許取得ってのもなんだし・・・おい、三津谷んとこの。」


話を多恵に振る。

「自転車、貸してやってくれねぇか。
出来たら街ん中案内してやっといてくれ。」

「え・・・いいけど・・・って大河内さん、本当に由有さん連れていっちゃうん??」

デスクに戻り車の鍵を手にした大河内を見て、何故か多恵は焦った様に話す。

「時間がない。今のウチにマンションの位置やウチん中のこと説明しときたい。
その後旅館に連れてくから。」

「・・・わかった・・・由有さん、今日は泊まってって。
じいちゃん楽しみにしてたんよ、由有さんが来るの。だから」

「行くぞ。」


多恵がまだ話しているのに、大河内は由有を急かし事務所を出て行った。




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