〜双子の憂鬱〜

その2



旅館に戻った由有を待っていたのは、宴会だった。


多恵の義父・幸太郎が由有のことをえらく気に入り、何度となく勧められた酒にほろ酔い気分になる。


こんな風に楽しくお酒を飲んだのは初めてかもしれない。


「由有さん。」


部屋で熱を冷ましていると、トントン、と戸を叩く音と共に多恵の声がした。


「今いい?」

「多恵さん?うん、いいよ。どうぞ。」

スッと引き戸が開き、化粧を落とした多恵が顔を覗かせた。


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