〜双子の憂鬱〜
「なるほど。由有か。
そう呼べば納得するのか?」
「え、ちが、あの」
クイっと由有の顎に当てられた無骨な指が、彼女の顔を上向きに変える。
「由有。
・・・なに真っ赤になってんだよ、生娘じゃあるまいし。」
抱きすくめられて、全身が熱くなる。
こんな風に抱き締められる経験なんかなかったから。
否応無く大河内を意識してしまう。
いや、違う!
何やってんの、あたし!
「悪かったわね!どうせ28にもなって未だ生娘よ‼︎重たいでしょ、ざまぁみろよ‼︎」
…ムカッときて、言わなくて良いことまで口走ってしまった気がする…。
由有を抱き締めたまま、大河内はポカン、と間抜けな顔をした。