〜双子の憂鬱〜


まさか、だった。


誰よりも側に居たのに、気付かなかった。


まさか。


まさか、双子の妹・実有(みう)に翔太を奪われてしまうなんて。



必死に取り繕った。


自分の感情を殺し、いい人を、いい姉を、いい友を演じた。


でも、限界だった。


ひとつついた嘘が由有をがんじからめにした。


そうして逃げたのだ。



全てを捨て、新しい自分に生まれ変わる為に。


その為に選んだ場所だった。


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