〜双子の憂鬱〜
「え?」
マンションに帰り、両手に沢山の食材が入った袋を下げたまま由有は玄関先で固まる。
「え?え?何これ。」
それは大きな花束。
由有を出迎えてくれたのは真っ赤な薔薇の花束だった。
「ご機嫌取りなんかじゃないぞ。
・・・悪かったと思うから、反省の意味を込めての花束だ。」
・・・意味不明。
もう・・・なんでこの人って予測不可能な行動するのよ。
「ふ・・・ぷっ、あ、あはは!もう!なんなのよ、あははは‼︎」
真っ赤な薔薇の花束を、その真紅より赤く染めた顔で抱きしめるように持って突っ立っている大きな男を、不覚にも可愛いと思ってしまう。
「何で笑うんだ、俺が花を持ってたらそんなに可笑しいか⁉︎」
恥ずかしそうに言う彼を、見た目とは違い優しい人なのだと思う。