〜双子の憂鬱〜
「違う違う!可笑しいから笑ったんじゃないの。あなたもそうやってると怖い人じゃないって思ったのよ。
ありがとう。それ、もらっていいの?」
玄関先からなかなか上がることが出来ないし。
荷物、重いんだけど。
そう思って花を受け取ろうとする。
その瞬間、花束を引っ込められてしまう。
「?何?」
「許して貰えるのか?」
真面目に。物凄く真剣に大河内が由有に問う。
ああ、許してもらいたくて花を用意したんじゃないの?
「気にしてないって言ったでしょ?
事実なんだから、大河内さんが気に病むことなんかないわ。
許す、許さないはあたしが決めることじゃないもの。」
笑うとホッとしたように肩を下げる。
差し出された薔薇はとてもいい香りがした。