〜双子の憂鬱〜


「おはようございます。」


今朝はいつもよりゆっくりと起きてきた大河内に朝の挨拶をする。


低血圧なのか、彼は朝が弱い。

そして、すこぶる不機嫌だ。

けど、由有は必ず挨拶をしていた。
毎朝の日課、みたいなものだ。


「おはよう。」


低く渋い声で、短いながらも返事が返ってくる。


これを合図に朝食をテーブルに並べるのだ。


今朝は和食好きな大河内に洋風の食事を準備した。

案の定、眉間にシワが寄る。


「モサモサして食えない、っていわなかったか。」


パンを見るなりそう言う彼に、笑って答える。


「食べてから言ってください。」


そう切り返すと、仏頂面が更に険しくなる。


でも。


彼が必ず食べると分かっているからこんなことをするのだ。


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