〜双子の憂鬱〜
その2
「由有・・・嫌ならイヤだと言ってくれた方がいい。何かまずい事言ったか?」
部屋の扉が控え気味にノックされてそんな声がした。
嬉しいから、なんて言えない。
だって、、、あたしは住人なんだから。
「由有?」
自分の気持ちがわからないから、答えることが出来なかった。
黙ったままでいると、ふぅ、とため息が聞こえ足音が遠ざかる。
ガチャリ、と音がしてすぐにバタン、と扉が閉まる音がした。
「あ・・・」
出て行ったのだ。
大河内がうちを出た音だ。
慌てて部屋を飛び出すが、何処にも彼の姿がなかったのは言うまでもない。