〜双子の憂鬱〜
失恋して逃避行。
最初は単純に厄介な客はゴメンだと思い、辛辣な言葉を吐き捨てた。
けれど彼女は俺に頭を下げたのだ。
【幸せにならずにいられるかっていう話。】
そんな言葉は彼女の気の強さを表すようだった。
芯がしっかりしていて、真っ直ぐで。
だけど守ってやりたくなる程弱そうで。
初めて会った女だというのに何故ここまで気になるんだろうと、不思議だった。
俺が社長だと知って、彼女は驚いていたけれど。
とにかく、何処にもやりたくない、隠してしまいたいような気持ちになってしまっていた。