〜双子の憂鬱〜
「由有」
運転している大河内から、いきなり名前を呼ばれて飛び上がる程驚く。
「はいっ‼︎」
「・・・なんで叫ぶんだ。
お前、好き嫌いあるか?」
・・・好き嫌い?
え、なんだそれ。
「食い物で好き嫌いあったら聞いておかないと、昼メシ食えないとか嫌だろ?」
・・・ああ!
「好き嫌い!そういうことですか〜、無いですよ、全く。」
もう。
多恵さんが余計な話をするから、好き嫌いって感情のことかと思っちゃったじゃない。
「変な奴だな、食べ物の話ってわかるだろ?普通。」
そりゃそうだわ。
何考えてるんだろ、あたしってば。
「どうした?緊張した顔して。」
・・・緊張しますって。この状況。
「慣れてなくて・・・すみません。」
力なく俯き、応える。