〜双子の憂鬱〜
「あー!もう入らない〜‼︎」
満足するまで食べた由有は、幸せを実感する。
こんなに美味しい食事は初めてだ。
「お前・・・痩せの大食いだな。驚いた。」
呆れた様な声がしたが、無視して見送りに出てきた二宮に再び頭を下げる。
「ご馳走様でした。本当にどれも美味しくて・・・」
言葉に出来ない。
そう言おうとした由有の手をまた握り、二宮は柔らかく笑った。
「1人でもいいよ、いつでも来て。君にならいくらでもご馳走するから。
これ、連絡先。気が向いたらメールでも電話でもして?」
握らされた名刺には、アドレスと電話番号が記されていた。
「あ、はい。ありがとうございます。
連絡、しますね。」
そう返事をした。
社交辞令だと分かっているから、あえてそう口にした。
「絶対だよ?待ってるね。」
二宮の目が。
由有を見る目が笑っていなかった。