〜双子の憂鬱〜
「降りないか?遊歩道があるんだ。」
そう誘われて、断る理由なんかない。
「はい、行きましょうか。」
シートベルトを外し、外へ出る。
風は穏やかで、波もあまり無い。
こんな景色は好きだ。
都会には無い、優しい風景。
「こっちだ。」
大河内の手が、自然と由有の右手を掴んだ。
グイッと引っ張られるように歩き出す。
自然だった。
由有も不思議と嫌ではなく。
どちらかと言えば心地よい気分だった。
大河内の手は大きくてごついけれど、あったかい。