〜双子の憂鬱〜
「小さい時に・・・じいさんとばあさんと3人でよくここに来た。
両親は早くに離婚してて。
親父にひきとられた俺は、ばあさんっ子だったから・・・普通の家庭ってものがよくわからん。
だから、かもしれんが・・・人とのコミュニケーションの取り方が下手くそだ。
仕事だと、なんともないのにな。」
ハハッと乾いた笑い方をする。
「二宮は、そんな俺の側にいつも居た。」
あ、と思う。
もしかしたら、もしかすると。
「二宮さん、自分のポジションをあたしに取られた、と思われたんじゃ・・・」
振り向いた大河内は、寂しそうに笑う。
「違う。あいつはお前に好意を持ったんだ。だから、声をかけた。連絡をくれと言ったんだ。」
酷く辛そうな表情だった。
泣きそうにも見えた。