〜双子の憂鬱〜
「今日は大吾と一緒じゃないんだね。」
ランチを楽しんで、食後のコーヒーを差し出しながら、二宮は問う。
「あ〜、そりゃ仕事されてるんだから一緒じゃないですよ。
彼、あんまりお休み無くて。」
あからさまな『大吾がいなくて残念』という彼の物言いに可笑しくなる。
やっぱりだ。
多恵もこちらを見て頷いている。
「二宮さん。」
居住まいを正し、由有はハッキリと声にした。
「あたし、大河内さんが好きなんです。」
ギョッとしたのは二宮だけじゃない。
多恵もだ。
「ここに来たのは貴方への宣戦布告です。どちらが勝っても文句無しで行きましょうね。」
きょとん、としていた二宮が突然大笑いした。
「ははは!!変わった人だね、ユウちゃん。
俺は別に大吾の事をそんな目で見てないよ。男同士だろ?あり得ないよ。」
そう言ってジッと由有の目を見る。
「あたし、分かってます。そうやって今までごまかして来たんでしょうけど。
彼が結婚しなさそうだから、安心してたんですよね?」
そこまで言うと、グッと詰まる様な表情を初めて見せた。