miss you.
真実
「ねぇ、林さん。今日さぁ、一緒に帰ってもいいかなぁ?」
「えっ…私?」

にっこりと笑う臭子。
…なんで私と?

臭子の優しい微笑みの裏に、突き刺さるような冷たさを感じた。

音楽を聞きながら外を眺める出巣予。

気付いてないみたい…。


ー帰り道ー

「あ、あのぉ。」

沈黙続きに耐えられなくて、話しかけてみた。

前を向き、歩き続ける臭子。

息が詰まるようなこの時間。
早く過ぎ去れ。早く家につけ。

「林さん。」
「は、はいっ?」

…臭子の声は、

「聞きたいことがあるんだけど。」
「う、うん。」

…今までとは全然違う、

「あなたたち別れたんじゃないの?」

…どす黒い声だった。
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